・力のモーメントって何?
・どんな公式で表されるの?
・どういう時に式を立てればいいの?
今回は、そんな受験生の悩みを解決していきます!
そして、最後には以下の例題を通して、モーメントの問題を解けるようにしていきますよ。
例題
水平面に重さW、長さ\(l\)の太さが一様でない棒が置かれている。A端をばねを用いて持ち上げると、\(s\)だけ伸び、同じばねを用いてB端を持ち上げると、\(2s\)だけ伸びた。この時、B端から重心までの距離を求めよ。また、ばねの伸び\(s\)を求めよ。ただし、ばね定数を\(k\)とする。
目次
力のモーメントとは回転の大きさを表す
力のモーメントとは、物体を回転させる作用のことで、簡単に言えば、回転の大きさのことを表します。
あまり想像ができないのですが、、
例えば、ドアを押して開ける時、なるべくドアのつけ根から遠いところを押した方が、楽に開けられるよね!あれは、力のモーメントが関係しているからなんだ!
つまり、物体を回転させる大きさは、力の大きさだけではなく、力を加える場所も大切だということになります。
なので、力のモーメントは、以下のようにあらわすことができます。
力のモーメントの公式
力のモーメントN
=力\(f\)×支点から力Fの作用線までの距離\(l\)
実際に問題を解くときには、
➀支点
➁力\(F\)の作用線
➂うでの長さ\(l\)
の順番で作図するようにしましょう!
例題:力のモーメントの計算問題
例題
水平面に重さW、長さ\(l\)の太さが一様でない棒が置かれている。A端をばねを用いて持ち上げると、\(s\)だけ伸び、同じばねを用いてB端を持ち上げると、\(2s\)だけ伸びた。この時、B端から重心までの距離を求めよ。また、ばねの伸び\(s\)を求めよ。ただし、ばね定数を\(k\)とする。
※いつも通り、まずは自分で考えてみましょう!自分で解くことで、『解くうえで何が足りないのか』が明確になります!
それでは一緒に解いていきましょう!
力のモーメントの計算問題の解き方
考え方
『物体が静止』と書いてあれば、力のつり合いの式と力のモーメントの式を考える!
B端から重心までの距離を\(x\)とします。問題文をみると、水平面に物体が置かれているので、『物体が静止している』ことがわかります。
そして、A端B端それぞれをばねで持ち上げた時の状況が書かれているので、まずはその2つの状況を絵にかいてから、つり合いの式とモーメントの式を立てていきます。
その①:A端を持ち上げた時
力の図を描くと上のようになりますので、力のつり合いの式は、
$$ks+N_B=W・・・➀$$
となります。
次は、力のモーメントの式を立てていきましょう!
あのー、支点ってどこにとればいいんですか?
いい質問だね!モーメントの支点は、多くの力が働いているところ、あるいは未知の文字があるところにとりましょう!
このように支点をとる理由は、支点に働く力は、うでの長さ\(l\)が0になるため、計算が楽になるからです!
力のモーメントの支点
➀多くの力が働いているところ
➁未知の文字があるところ
今回は、垂直抗力\(N_B\)は自分で置いた文字、つまり未知数なので、B端をモーメントの支点にとると、モーメントの式は
$$ks×l=Wx・・・➁$$
となりますね!
今立てた式だけだと答えがわからないので、同様にB端を持ち上げた時のつり合いの式とモーメントの式を書いていきます。
その②:B端を持ち上げた時
力の図を描くと上のようになりますので、力のつり合いの式は、
$$2ks+N_A=W・・・➂$$
となります。
次は、力のモーメントの式を立てていきます。
今回は、A端に働く垂直抗力を自分で\(N_A\)と置いたので、未知数があるA端をモーメントの支点として考えます。
A端をモーメントの支点とした時の、モーメントの式は、
$$W(l-x)=l×2ks・・・➃$$
力のつり合いと、力のモーメントの式は、以下のように求められました。
$$ks+N_B=W・・・➀$$
$$ks×l=Wx・・・➁$$
$$2ks+N_A=W・・・➂$$
$$W(l-x)=l×2ks・・・➃$$
今回知りたいのは、ばねの伸び\(s\)とB端から重心までの距離\(x\)なので、\(x\)と\(s\)が入っている➁と➃の式、つまり力のモーメントの式2本を連立すればわかり、答えは
$$s=\frac{W}{3k}$$$$x=\frac{l}{3}$$
となります。
今回は、つり合いの式はいらなかったってことだね!逆に言えば、モーメントの式を立ててなかったら解けなかったということなので、しっかり式を立てられるようにしておこう!
まとめ:まずは力のつりあいを考えてから力のモーメントの式を立てる!
今回は、力のモーメントについて詳しく話してきました。
力のモーメントの問題で、気を付けるべきことをまとめておきます!
まとめ
➀力のモーメントN=力\(f\)×支点から力Fの作用線までの距離\(l\)
➁支点⇨力\(F\)の作用線⇨うでの長さ\(l\)の順で作図する
➂多くの力が働いているところ、未知の文字があるところを支点にとる
上のことに気を付けながら、自分の持っている問題集で練習してみてくださいね!