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導体と誘電体の違いとは?【誘電体を挿入するとコンデンサーの容量が増える理由】

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導体と誘電体の違いは何ですか?

悩んでる人

こんな悩みを解決します。

受験生の中でも、導体と誘電体を混同して使っている人が多いのではないでしょうか。

これがわかれば、『誘電体を挿入すると、コンデンサーの容量が増える理由』がわかるので、暗記量を減らすことができますよ。

前回の内容は電場中で金属内部の電場が0になる理由は?【電場とからめて徹底解説】を参考にどうぞ。

導体と誘電体(不導体・絶縁体)の違い

導体と誘電体の2つのの違いは下のようになっています。

導体と誘電体の違い

導体・・・金属(よく電気を通す物質)

誘電体・・・不導体、絶縁体の(電気を通しにくい物質)

それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

その①:導体

導体とは金属のことで、自由電子を無数にもつ物体のことを言います。

無数とはどれくらいなのですか?

悩んでる人

これは覚えなくていいんだけど、大体\(~10^{28}個/m^3\)くらいたくさんなんだ!

塾長

『金属内部に自由電子がたくさんある』ということが重要なので、しっかり覚えておきましょう。

ポイント

導体とは金属のことで、自由電子を無数にもつ物体のこと


その②:誘電体(不導体・絶縁体)

一方、誘電体は、不導体、絶縁体のことで、電気を通しにくい物質のことを言います!

悩んでる人

絶縁体って電気を流さないって聞いたのですが、流しにくいのですか?

厳密には、どんな物質も電圧をかければ、電気は流れるから、絶対流れないとは言えないんだ!

塾長

誘電体が、導体と違って電気を流しにくい理由は、導体内部に自由に動ける電荷をもたないからです。

【参考書に載ってない】誘電体の特徴を理解しよう!

誘電体(絶縁体)内部の電荷は自由に動けないのですか?

悩んでる人

実は、誘電体内部に、電荷が自由に移動できないように、『部屋』のようなものがあるんだ!

塾長

誘電体は、内部に『部屋』のようなものがあるので、電荷が部屋から脱走できないようになっています。

ここで、誘電体に電場をかけると、電荷は静電誘導を受けて下のようになります。

電荷が部屋から出ることなく、プラスの電荷は下に、電子は上に行くのですね!

プラスの電荷は、電場と同じ方向に移動するからね!

塾長

移動が終わった電荷は、隣の部屋のプラスとマイナス同士が打ち消しあいます。

すると、中央部の電荷はキャンセルされて、消えてしまいます。

最終的には、表面に残った電荷が、弱い内部電場を作るのです。

だから、誘電体内部の電場が弱められるのですね!

導体の時は、内部電場が完全に外部電場を打ち消したけれど、誘電体の場合は弱めることしかできないんだ!

塾長

どれくらい弱められるかと言うと、誘電体内部では、もとの電場の$$\frac{1}{\varepsilon _r}$$になります!(\(\varepsilon _r:\)比誘電率)

誘電体のまとめ

1.誘電体とは、自由に動ける電荷をもたない物質

2.電場中に置くと、電子は原子の中から出られないが、原子内部で電荷の偏りが生じる

3.表面に分布したわずかな電荷によって、内部電場が生じ、外部電場が弱められるが、金属の時とは異なり、外部電場を完全に打ち消すことはできない

4.誘電体内部の電場は、外部電場の$$\frac{1}{\varepsilon _r}倍$$になる


コンデンサーに誘電体を挿し込むと容量が増える理由

次は、誘電体を差し込むと、コンデンサーの容量が増える原因を見ていきましょう。

コンデンサーの容量は、$$C=\frac{Q}{V}$$で表せました。

今回、誘電体を差し込んだことで、コンデンサーの電位差が、もとの電位差の\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)になります!

どうして、電場Eが\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍になると、電位差Vも\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍になるのですか?

悩んでる人

\(V=Ed\)の公式から、電場Eが\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍になると、電位差Vも\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍になるのがわかるね!

塾長

ポイント

電場Eが\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍になると、\(V=Ed\)の公式から、電位差Vも\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍になる

誘電体を差し込んだ時の、コンデンサーの容量をC'、電位差をV'とすると、

$$C'=\frac{Q}{V'}$$

$$=\frac{Q}{V/\varepsilon _r}$$

$$=\varepsilon _r\frac{Q}{V}$$

$$=\varepsilon _rC$$

となり、容量がもとの容量の\(\varepsilon _r\)倍になったことがわかりました。

ここで大事なのは、誘電体を差し込むと、コンデンサーの容量が増えるのではなく、誘電体の電場が\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍に弱められたから、コンデンサーの容量が\(\varepsilon _r\)倍に増えたということです!

絶対に、『誘電体を差し込むとコンデンサーの容量が\(\varepsilon _r\)倍になる』という覚え方はしないようにしましょう!


まとめ:コンデンサーの容量が増える原理を理解しよう!

今回は、誘電体を挿入するとコンデンサーの容量が増える原因について説明しました。

まとめると、以下のようになります。

ポイント

1.誘電体を差し込むと、誘電体の内部電場が\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍に弱まる

2.\(V=Ed\)の公式から、電位差Vも\(\frac{1}{\varepsilon _r}\)倍になる

3.\(C'=\frac{Q}{V'}\)から、コンデンサーの容量が\(\varepsilon _r\)倍になる

上の流れで理解することで、電磁気の理解が深まり、難しい問題も解けるようになります。

誘電体については、丸暗記するのではなく上のような流れで覚えておくようにしましょう。

今回は以上です。

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しばけん

現役時代センター試験60点台。浪人中予備校に通い神授業に出会う。旧帝大模試で物理偏差値65を叩き出し、その経験を活かして現在は塾で中学生や高校生に数学や物理を指導中。

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