磁場と磁束密度は、学校で同じものと教わったのですが、違うのですか?
確かに、似たものではあるけれど、完全に同じものではないから注意だね!
ある参考書には、『磁場と磁束密度は同じものだと思ってもよい』という説明がありますが、『同じなら2つも名前いらなくない?』って思いますよね。
磁場と磁束密度の2つには、明確な違いがありますので、今回は磁場と磁束密度の違いについて説明していきます。
前回の記事は【高校物理】回路問題で立てる式はたった3本【回路方程式の解き方を解説】を参考にどうぞ。
目次
磁束密度は磁場が強められたもの
結論から話すと、磁束密度とは磁場が強められたものです!
磁場って強めることができるのですか?!
できるよ!小学生のときに電磁石って作ったことないかな?電磁石の磁力を強めたいときには、鉄心を入れたりして、磁力を強めたよね!
つまり、磁力というのは、磁場が発生する環境によって強さが変わるのです!
その変化の割合を、透磁率\(\mu\) で表し、磁場と磁束密度には以下のような関係式が成り立ちます。
磁場と磁束密度の関係
$$\vec{B}=\mu \vec{H}$$\(\mu\) を透磁率といい、その大きさは周囲を満たす物質によって決まる
磁場も磁束密度もベクトルで表す
磁場も磁束密度もベクトルなんですね!
そうだね!磁場も電場と同じように向きがあるから、方向に注意する必要があるよ!
磁場は、N極からでてS極に入るので、向きが当然あります!
『ベクトルで表す』といわれると、なんか難しく感じますが、要は『磁場と磁束密度には向きがある』ということを覚えておけば大丈夫です!
【疑問】どうして磁束密度という名前なのか
磁場は、電場みたいなものって何となくわかりますが、どうして強められると磁束密度という名前になるのですか?
名前の疑問だね?それは、磁場の定義を確認すればはっきりわかるよ!
確かに、磁場を空間が強めると、磁束密度という名前になるのは不思議ですよね。
いきなり、『密度』という言葉が出てきて、どういうこと?ってなる人が多いのですが、ここで一度電場の範囲を復習しましょう。
電場とは\(1m^2\)あたりの電気力線の密度だった!
電場は、+1[C]が移動した軌跡である電気力線を使って、下のようにあらわすことができました!
ガウスの法則
\(1m^2\)あたりの電気力線の本数=その点の電場の強さ
※この内容を知らなかった人は、【電気力線は+1[C]の動いた道筋だった?!ガウスの法則につながる電気力線の話】をご覧ください。
つまり、電場は『\(1m^2\)あたりの電気力線の密度』ということです。
磁場は、\(1m^2\)あたりの磁力線の密度!
磁場は、電界における電場のようなものなので、実は磁場も電場と同じような表現で表すことができます!
つまり、磁場は『\(1m^2\)あたりの磁力線本数』ということができるのです!
ポイント
・電場・・・\(1m^2\)あたりの電気力線本数(電気力線密度)
・磁場・・・\(1m^2\)あたりの磁力線本数(磁力線密度)
あ!磁場って磁力線密度とも言えるんですね!
磁場も電場と同じように考えられるから、意味としてはそうなるね!そしたらもう、なんで磁束密度って言うか分かるよね?
磁束密度の言葉の意味
磁場と磁束密度の関係は、以下の通りでしたね!
$$\vec{B}=\mu \vec{H}$$
さて、磁場\(\vec{H}\)は磁力線密度という名前だったので、それが空間によって強められると、磁力線は束になって強くなります。
だから、磁場を強めると『磁束密度』という名前になるのです!
ポイント
・電場・・・\(1m^2\)あたりの電気力線本数(電気力線密度)
・磁場・・・\(1m^2\)あたりの磁力線本数(磁力線密度)
・磁束密度・・・\(1m^2\)あたりの磁束線本数(磁束線密度)
これで、『どうして磁束密度という名前になるのか』スッキリしました!
まとめ:磁場と磁束密度の違いを理解して周りの受験生と差をつけよう!
今回は、磁場と磁束密度の違いについて説明しました!
さらに、『どうして磁束密度という名前になるのか』ということも紹介してきました。
まとめると、以下のようになります!
まとめ
1.磁束密度とは、空間によって磁場が強められたもの
2.磁場は、磁力線密度のことで、それを強めると磁束密度になる
磁束密度という名前は変わったネーミングですが、磁場のそもそもの意味を理解していれば、どうしてそういう名前になるのか理解できます。
小さなことですが、言葉の定義や意味を理解することは、物理の偏差値を上げるのに非常に重要ですので、しっかりと覚えておきましょう!
今回は以上です。
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