力学 物理

重心を求める公式を覚えるな!【くり抜いた円盤の解き方をわかりやすく解説】

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悩んでる人

重心ってそもそも何?
・公式が複雑でわからない
・問題はどーやって解けばいいの?

今回は、こんな悩みを解決していきます!

そして、最後には以下の例題を解けるようにしていきます。

例題

半径2Rの円盤から、図のように半径\(\frac{R}{2}\)の円盤をくりぬいた。この時、残った円盤の重心の位置を答えよ。

✔この記事の目標
・重心の定義と使い方を理解する
・重心の問題を解けるようにする

【基礎を理解】そもそも重心は全重力の作用点のこと

重心とは、全質量がそこに集中しているとみなせる点です。

つまり、物体にかかる全重力の作用点ということができます!

例えば、質量Mとmの物体を、質量が無視できる棒でつなぐと下のようになるよ!

塾長



また、重心の特徴として、重心では『力のモーメント』がつり合います!

力のモーメントは、$$力F×支点から力Fの作用線までの距離l$$

で求めることができました。

重心を支点とした、重力モーメントは必ずつり合うことから、全体の重心は、各物体の重心の位置を、質量の逆比に内分する点、ということがわかります!


確かに、上の絵で重心を支点にした、力のモーメントはつり合います!

重心を支点とした時の力のモーメントが、必ずつり合うことを覚えておけば、重心の公式を覚える必要はないね!

塾長

重心のまとめ

➀重心は、全重力の作用点
⇨重心を支点とした力のモーメントは、必ずつり合う
➁全体の重心は、各物体の重心の位置を質量の逆比に内分する点


例題:くり抜いた円盤の問題

問題に入る前に、軽く練習しておこう!

塾長

例題

密度が等しいL字型のプレートがある。縦の長さを3cm、横の長さを2cmとした時、全体の重心の位置を図示せよ。

※いつも通り、まずは自分で考えてみましょう!自分で解くことで、『解くうえで何が足りないのか』が明確になります!

解くためのヒント

それぞれを1つの物体とみなして、それぞれの重心を取り、長さの逆比で内分する!


問題の解答

上の図のように、縦横それぞれを1つの物体としてみて、それぞれの重心を結んで、長さの逆比で内分すればOKだよ!

塾長
悩んでる人

全体の重心が、物体の上にないのですが、それでもいいのですか?

対称的でない図形の場合、全体の重心は物体の上にないことが多いから、気にしなくても大丈夫だよ!

塾長

問題の解答:くり抜いた円盤の重心を求める

例題

半径2Rの円盤から、図のように半径\(\frac{R}{2}\)の円盤をくりぬいた。この時、残った円盤の重心の位置を答えよ。

※いつも通り、まずは自分で考えてみましょう!自分で解くことで、『解くうえで何が足りないのか』が明確になります!

それでは解説していくよ!

塾長



【考え方】
抜けた円の重心と、残りの円の質量比(面積比)から、重心を求めていく!

まずは、重心を求めるために、各物体の質量比を求めていくが、物体の密度は同じなので、今回は面積比がそのまま質量比になります。



抜け落ちた部分の面積

抜け落ちた部分の面積は、半径\(\frac{R}{2}\)なので、

$$\pi (\frac{R}{2})^2$$$$=\frac{\pi}{4}R^2$$

となります。



残りの円の面積

灰色の面積は、半径Rの円の面積から、半径\(\frac{R}{2}\)の円の面積を引いたものになるので、

$$\pi R^2-\pi (\frac{R}{2})^2$$$$=\frac{3}{4}\pi R^2$$

となります。

よって、2つの物体の質量比(面積比)は、\(\frac{\pi}{4}R^2と\frac{3}{4}\pi R^2\)で1:3となります!

質量比がでたから、あとはそれぞれの重心を結んで、質量の逆比で内分だね!

塾長



ココがポイント

物体が抜け落ちている場合には、『はめた後に、全体の重心がもとの図形の位置』を利用する!

➀埋める前の重心
➁埋めたものの重心
➂埋めた後の重心(元の図形の重心)

この3つを図に描き込んで、質量比が全体の重心になるように書くと、上のようになります!

求めたい場所は、抜け落ちて残った部分の重心の位置なので、中心から\(G_2\)の距離を\(x\)とすると、

$$x:\frac{R}{2}=1:3$$$$x=\frac{R}{6}$$

と求めることができます。

なので、中心から\(\frac{R}{6}\)の点が答えになります。



まとめ:重心の問題の解き方は簡単!

今回は、重心の定義とその問題の解き方について話してきました。

大切な内容をまとめると、以下のようになります。

重心のまとめ

➀重心は、全重力の作用点
⇨重心を支点とした力のモーメントは、必ずつり合う

➁全体の重心は、各物体の重心の位置を質量の逆比に内分する点

➂抜け落ちた重心を考える時は、『埋める前の重心』⇨『埋めたものの重心』⇨『埋めた後の重心』の順で描き込む

くれぐれも、重心の公式を教科書や、参考書に載っているような形で、覚えないようにしてください。

自分の持っている問題集で練習して、重心問題は完璧にできるようにしておきましょう!

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しばけん

現役時代センター試験60点台。浪人中予備校に通い神授業に出会う。旧帝大模試で物理偏差値65を叩き出し、その経験を活かして現在は塾で中学生や高校生に数学や物理を指導中。

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