・弾丸の問題がわからない
・そもそもどの公式を使っていいかわからない
今回は、そんな悩みについて解決していきます。
大阪大や東工大などの旧帝大、難関国立大で頻出の弾丸問題ですが、この問題は『運動量保存則』を使って解くことができます。
現象自体は単純なので、難関大を受けない人も運動量保存則の練習問題として、ぜひ解いてみてください。
✔この記事の内容
・難関大頻出の弾丸問題の考え方
・衝突・分裂問題の解き方はたった3つ
そもそも衝突問題の解き方は3つ!
実は、高校物理の衝突・分離の論点は3つしかなんだ!
【高校物理の衝突・分離の論点】
➀運動量保存
➁はね返り
➂どのくらいのエネルギーが失われたか
つまり、衝突・分離問題の解法も上の3つに絞ることができます。
それでは、例題を解いていきましょう。
木片が刺さる弾丸問題:解き方を解説
例題
質量M、長さ\(l\)の物体を、なめらかな床面においた。この物体に、質量mの弾丸を速さ\(v_0\)で打ち込んだ。弾丸は水平線上を進み、木片から受ける抵抗力は常に一定とする。
(1)最初、木片を床面を固定して弾丸を打ち込んだところ、深さdまで入り込んだところで静止した。抵抗力Fの大きさを求めよ。
(2)次に、木片を固定せずに、再び弾丸を\(v_0\)で打ち込むと、木片に入り込み一体となって一定の速さで動いた。その時の速さをもとめよ。また、あてた弾丸が入り込んだ深さを求めよ。
(3)弾丸が木材を貫くには、初めの速さはいくら以上でなくてはならないか。
(問題引用:名門の森、大阪大)
※いつも通り、まずは自分で考えてみましょう!自分で解くことで、『解くうえで何が足りないのか』が明確になります!
それでは、解説していきますよ!
例題
質量M、長さ\(l\)の物体を、なめらかな床面においた。この物体に、質量mの弾丸を速さ\(v_0\)で打ち込んだ。弾丸は水平線上を進み、木片から受ける抵抗力は常に一定とする。
(1)最初、木片を床面を固定して弾丸を打ち込んだところ、深さdまで入り込んだところで静止した。抵抗力Fの大きさを求めよ。
考え方!
・弾丸が木片にささる瞬間
・弾丸が木片内をdだけ移動して、止まった位置
この2点に着目して、エネルギー保存の式をたてると、
$$\frac{1}{2}m{v_0}^2=Fd$$$$\therefore F=\frac{m{v_0}^2}{2d}・・・答え$$
となります。
運動エネルギーが、摩擦熱に変化したとみればいいのですね!
摩擦熱は、(力)×(距離)で与えられるから、それをもとに式を立てればOKだね!
(2)の解答
例題
質量M、長さ\(l\)の物体を、なめらかな床面においた。この物体に、質量mの弾丸を速さ\(v_0\)で打ち込んだ。弾丸は水平線上を進み、木片から受ける抵抗力は常に一定とする。
(2)次に、木片を固定せずに弾丸を\(v_0\)の速さで打ち込むと、木片に入り込み一体となって一定の速さで動いた。その時の速さをもとめよ。また、あてた弾丸が入り込んだ深さを求めよ。
ココがポイント
・運動量保存則
・はね返り係数の式
・エネルギー保存の式
が使えないか、考える!
弾丸と、木片の衝突問題なので、上の3つの式が使えないかどうかを考えます!
弾丸と木片を物体系として考えると、外力は働かないので、運動量保存則が使えます。
弾丸と木片の間の抵抗力は、内力だからですね!
(1)とは異なり、今回は木片が固定されていません。
一体となったとき、2つの物体は同じ速さになるので、その速さを\(v\)とすると、
$$mv_0+0=mv+Mv$$$$\therefore v=\frac{m}{m+M}v_0・・・答え$$
となります。
次は、はね返り係数の式が使えるか考えます。
今回、弾丸は木片に刺さってはね返っていないので、はね返りの式は立てられません。
最後に、エネルギー保存の式を考えます。
エネルギー保存の式は、主に2点間の距離が与えられた(知りたい)ときに使いますが、今回は
・弾丸が木片にささる瞬間
・木片から見て、弾丸が動かなくなった瞬間
の2地点におけるエネルギー保存の式を立てましょう。
求める深さをd'とすると、エネルギー保存則より
$$\frac{1}{2}m{v_0}^2=\frac{1}{2}(m+M){v}^2+Fd'$$
となります。抵抗力は常に一緒(問題文より)なので、(1)のFと、\(v\)を代入して、d'を求めると
$$d'=\frac{M}{m+M}d・・・答え$$
となります。
衝突問題はやることが決まってしまうので、簡単だね!
(3)の解答
例題
質量M、長さ\(l\)の物体を、なめらかな床面においた。この物体に、質量mの弾丸を速さ\(v_0\)で打ち込んだ。弾丸は水平線上を進み、木片から受ける抵抗力は常に一定とする。
(3)弾丸が木材を貫くには、初めの速さはいくら以上でなくてはならないか。
ココがポイント
今回も衝突問題かつ、はね返らないので、運動量保存則とエネルギー保存則の2つを使えば解くことができます!
弾丸の初速を\(v_1\)、弾丸が突き抜ける瞬間の速さを\(u\)とすると、
運動量保存則より、
$$mv_1+0=mu+Mu$$
エネルギー保存則より
$$\frac{1}{2}m{v_1}^2=\frac{1}{2}(m+M){u}^2+Fl$$
これら2式から、\(u\)を消去すると、
$$v_1=v_0\sqrt{\frac{(m+m)l}{Md}}・・・答え$$
となります。
意外と簡単に解けました!
どういう時にどういう式を立てるか知っていれば、簡単だね!
まとめ:難関大を受ける人はしっかり問題を解けるようにしておこう!
今回は、難関大で頻出の『弾丸問題』について紹介してきました。
弾丸問題に限らず、大切なのは衝突問題・分裂問題の解き方が決まっているということです。
ココがポイント
・運動量保存則
・はね返り係数の式
・エネルギー保存の式
が使えないか、考える!
上の内容は、非常に大切なので、しっかりと覚えておきましょうね。