・どうして万有引力位置エネルギーはマイナスなの?
・基準を∞点に取るのはなぜ?
今回は、上のような悩みを解決していきます!
私も、実際に『どうして位置エネルギーがマイナスなんだろう』『基準が無限なのはどうして?』と思っていましたが、しっかり基本がわかれば難しい話ではありませんでした!
同じような悩みを抱えている人は、この記事を読めばスッキリ解決できますよ。
✔この記事の内容
・万有引力による位置エネルギーがマイナスの理由
・位置エネルギーの基準が無限遠方なわけ
まずは重力の位置エネルギーを復習!
まずは、簡単に重力による位置エネルギーについて復習しましょう。
重力による位置エネルギーは、高さをhとすれば
$$mgh$$
と表すことができました。
また、\(mgh\)のエネルギーを持つ物体は、
『基準に戻るまでに重力が\(mg×h\)の仕事をする能力を持っている』ということができます!
例えば、地表からビルに上ってバンジージャンプをすれば、自分が上った分だけ、重力によって地表に戻されるよね!
ココがポイント
万有引力の位置エネルギーを証明&導出
万有引力による位置エネルギーは、基準を無限遠点にとると、以下のようにあらわすことができます!
$$u=-G\frac{Mm}{r}$$
これを導くことで、今回の疑問は2つとも解決できますよ!
まずは、以下の点に気を付けながら作図しましょう!
➀\(x\)軸を書いて、正方向を決める
➁原点に質量M、\(r\)(A点)に質量mの物体を描く
➂任意に点における万有引力をかき、位置エネルギーの基準は\(r_0\)とする
さて、エネルギーは一般的に(力)×(距離)で求められますが、力が一定でない場合は、この公式は使えません。
万有引力の大きさは、2物体との距離によって変化するから、この求め方はできませんね。
そんな時は、積分を使って求めるしかないんだ!
万有引力による位置エネルギーは、A点からB点(基準)に戻るまでに万有引力がする仕事に等しく、
$$V=\int_r^{r_0}-G\frac{Mm}{x^2} dx$$
となります!
式の立て方は、弾性力の位置エネルギーのときにやったね!
積分の計算が難しそう・・・
大丈夫!変化するのは分母にある\(x^2\)だけだから、\(\frac{1}{x^2}\)を\(x^{-2}\)にして積分してごらん!
あ、なんかできそうです!
$$V=\int_r^{r_0}-G\frac{Mm}{x^2} dx$$
$$=\left[GMm\frac{1}{x}\right]^{r_0}_r$$
$$=G\frac{Mm}{r_0}-G\frac{Mm}{r}$$
となります!
これが、基準を\(r_0\)にとったときの位置エネルギーだけど、このままの形では、式が長くて使いづくないかい?
あ!だから位置エネルギーの基準を∞にとるんですね!
その通り!基準の\(r_0\)を∞に変えると、分母が∞になってその項は0とみなすことができるんだ!
$$V=G\frac{Mm}{r_0}-G\frac{Mm}{r}$$
$$=G\frac{Mm}{∞}-G\frac{Mm}{r}(r_0を∞にする)$$
$$=0-G\frac{Mm}{r}$$
$$=-G\frac{Mm}{r}$$
これが、∞遠点を基準にとった、万有引力による位置エネルギーです!
つまり、まとめると以下のようになります。
ココがポイント
・\(r_0\)を無限にすることで、\(G\frac{Mm}{r_0}\)の項が消えるため、マイナスがつく!
これが、基準を無限にとり、位置エネルギーにマイナスがつく理由だったんですね!
まとめ:万有引力の位置エネルギーがマイナスなのは基準が無限遠だから
今回は、万有引力による位置エネルギーについて話してきました!
➀どうして万有引力による位置エネルギーは基準が無限なのか
➁位置エネルギーはなぜマイナスなのか
以上2つの理由がもうわかりましたよね?
このように、物理はただ単に問題を解いたり、公式を暗記するだけでは、成績も伸びませんし理解も深まりません!
公式が出てきたときには、導出もあわせて勉強していくことが大切ですので、しっかりと頭にいれて勉強していきましょう。