・内部エネルギーって何ですか?
・定積モル比熱って何変化でも使っていいんですか?
受験生であっても、内部エネルギーについて詳しく説明できない人がたくさんいますが、内部エネルギーを説明できないと、難関大では式を立てることができません!
『大問まるまる落としてしまった・・』なんて絶望しないためにも、内部エネルギーの定義についてしっかり勉強しておきましょう。
✔この記事の内容
・内部エネルギーは気体分子の運動エネルギーの総和
・内部エネルギーの定積モル比熱は、定圧、等温、断熱変化でも使える
・絶対温度と内部エネルギーの関係
内部エネルギーは気体分子の運動エネルギーの合計のこと
内部エネルギーは、『気体分子の運動エネルギーの合計』と『分子間力における位置エネルギー』の和のことを言います。
ん?タイトルには、運動エネルギーだけしか、書いてありますけど。
言葉の定義上は、位置エネルギーも入るんだけど、高校物理で気体はすべて理想気体だから、分子間力が無視されて、位置エネルギーは考えなくていいんだ!
ココがポイント
では、気体分子の運動エネルギーの総和Uはどのように表されるでしょうか。
気体分子の運動エネルギーを大きくしたければ、温度が高い方が大きくなりそうですけど、、
そうだね!あとは、気体分子の数が多ければ多いほど、運動エネルギーの総和は大きくなるよね!
つまり、内部エネルギーは、絶対温度Tと気体の数(モル数n)に比例することがわかります。
比例定数を\(C_r\)とすると、内部エネルギーUは
$$U=C_rnT$$
と書くことができます!
ちなみに、比例定数を\(C_r\)を定積モル比熱というよ!
ココがポイント
内部エネルギーと定積モル比熱の関係
定積モル比熱は、単原子分子(1つだけの分子)では、$$C_r=\frac{3}{2}R$$と表すことができます!
なぜ、このような値が出てくるのか、内部エネルギーと絶対温度の観点から見ていきましょう。
そもそも『絶対温度』は、気体分子の運動エネルギーの平均値であることを学んだね!
・内部エネルギー・・・気体分子の運動エネルギーの総和
・絶対温度・・・気体分子の運動エネルギーの平均値
つまり、内部エネルギーは、絶対温度の関係式から導くことができるのです!
話についていけないのですが・・・
例えば、30人クラスで数学のテストをして、平均点が60点だったとしよう。この時、30人合計の点数は
$$60点(平均値)×30人(人数)=1800点(総和)$$
で求められるよね!
・内部エネルギー・・・気体分子の運動エネルギーの総和
・絶対温度・・・気体分子の運動エネルギーの平均値
つまり、内部エネルギーという『総和』を求めたければ、気体分子の運動エネルギーの平均値に空間の中にいる気体の数(人数)をかけてあげればいいことになります。
よって、
$$\frac{1}{2}m\overline{v^2}×N=U$$(運動エネルギーの平均値)×(気体の個数)=(総和)
気体の運動エネルギーの平均値\(\frac{1}{2}m\overline{v^2}\)は、ボルツマン定数を使って、$$\frac{3}{2}k_BT$$
と表せ、気体の個数Nはモル数nとアボカド定数\(N_A\)を用いて、$$N=nN_A$$
と表せるので、それぞれを代入して、
$$U=\frac{1}{2}m\overline{v^2}×N$$$$=\frac{3}{2}k_BT×nN_A$$$$=\frac{3}{2}\frac{R}{N_A}T×nN_A$$$$=\frac{3}{2}nRT$$
となります。
つまり、内部エネルギーは
$$U=\frac{3}{2}nRT$$
とも表すことができるのです。
$$U=C_rnT$$$$U=\frac{3}{2}nRT$$
の2つを比較すると、
$$C_r=\frac{3}{2}R$$
となることから、定積モル比熱は\(\frac{3}{2}R\)となることがわかりましたね!
ココがポイント
・定積モル比熱は、単原子分子だと$$C_r=\frac{3}{2}R$$と表せる!
ちょっと一言
まとめ:内部エネルギーときたら定積モル比熱を使う!
今回は、内部エネルギーと、その比例定数である定積モル比熱について話してきました。
・内部エネルギーは、気体分子の運動エネルギーの総和のこと
$$U=C_rnT=\frac{3}{2}nRT$$
・単原子分子の場合は、何変化であっても内部エネルギーの定積モル比熱は、$$C_r=\frac{3}{2}R$$と書ける。
上の2つは、知らなかったり、あいまいに覚えている人が多いので、しっかりと理解しておきましょう!