・波の式の作り方がわからない
・式がどうやって作られているかわからない
・そもそも波の式って何?
波動の範囲って、イメージがつきにくいせいか、苦手な人が多い分野ですよね。
特に、波の式に関しては、符号がわかりづらくて難しく感じてしまいがちです。
しかし、波の式はたった3ステップで簡単に作ることができてしまうのです!
そこで今回は、参考書よりも詳しく、しかもわかりやすく波の式の作り方について、話していきます。
✔この記事の内容
・波の式の作り方はたった3ステップ
・y-xグラフから波の式を作る方法!
目次
y-xグラフから波の式の作り方
そもそも、物理の世界では、波の表し方は2つあります!
【波の表し方】
➀横軸が\(x\)のグラフ(\(y-x\))グラフ
➁横軸が\(t\)のグラフ(\(y-t\))グラフ
波の式を立てるに必要なのは、横軸が\(t\)のグラフである(\(y-t\))グラフですので、(\(y-x\))グラフが与えられたときは、(\(y-t\))グラフに書き換えていく必要があります。
そして、冒頭でも話した通り、波の式は3ステップで作ることができます。
波の式の作り方!
➁ある1点の単振動を時間の関数で表す
➂➁が位置\(x\)に届くのにどれくらいかかるか考える
それでは、実際に例題を見ていきましょう。
例題
\(t=0\)における媒質の単振動が上のように与えられたときの、時刻\(t\)における変位\(y\)を表す式を波長\(\lambda\)、周期\(T\)を用いて表せ。ただし、波は\(x\)軸正方向に\(v\)で進行するものとする。
※いつも通り、まずは自分で考えてみましょう!自分で解くことで、『解くうえで何が足りないのか』が明確になります!
➀(\(y-x\))グラフは(\(y-t\))グラフに書き換える!
さて、波の式を作るには、(\(y-x\))グラフは(\(y-t\))グラフに書き換える必要があります。
(\(y-x\))グラフは、ある時間における『波の写真』を表しています。
どういうことですか?
少し、海を思い浮かべてごらん!
海には、海岸と海がありますが、この写真を横から見た図が、(\(y-x\))グラフなのです。
なるほど!(\(y-x\))グラフは、ある時間の波の写真ってことがよくわかりました!
じゃあ、波は1秒後にどこにくるかな?
波の進行方向に対して、時間を少し進めた図を描いてみると、\(x=0\)(海岸と海の境目)では、波が沈みこむことがわかります。
・\(x=0\)の場所の波は、\(t=0\)では\(y=0\)の場所にある
・時間がたつと、\(x=0\)の場所では、波が\(y<0\)に沈み込む
以上のことから、\(x=0\)における波の時間変化の図(y-t)グラフは、以下のように書くことができます!
あ!(\(y-x\))グラフが(\(y-t\))グラフに書き換わりました!
(\(y-x\))グラフを少しずらして、\(x=0\)の波の変化を見ながら、(\(y-t\))グラフをかけばOKだよ!
ココがポイント
➁ある1点の単振動を時間の関数で表す
今回の波は、➀の作業で、\(x=0\)における波の変化に書きかえました!
波の形は、振幅がAのマイナスsin関数なので、グラフから\(x=0\)における時刻\(t\)の波の変位は
$$y(0,t)=-Asin\omega t・・・➀$$
と書くことができます。
➂➁が位置\(x\)に届くのにどれくらいかかるか考える
さて、いよいよ最後のステップです。
最後は、➁が位置\(x\)に届くのにどれくらいかかるか考えていきます。
\(x=0\)で発生した波と同じ高さの波が、\(x=x\)に来るまでにかかる時間は、道のり÷速さで
$$\frac{x-0}{v}=\frac{x}{v}$$
となります。
座標の距離を出すには、2点の座標の(大ー小)をすればいいから、道のりは\(x-0\)になるよ!
つまり、位置\(x\)に、時刻\(t\)に届く波の高さは、\(x=0\)において、時刻\(t-\frac{x}{v}\)に発生した、波と高さが等しくなります!
そして、言葉の通りに式にすると、
$$y(x,t)=y(0,t-\frac{x}{v})・・・➁$$
(位置\(x\)に、時刻\(t\)に届く波の高さ)
=(\(x=0\)において時刻\(t-\frac{x}{v}\)に発生した波と高さ)
となります。
➀の式と➁の式を見比べて、
$$y(0,t)=-Asin\omega t・・・➀$$$$y(0,t-\frac{x}{v})=-Asin\omega (t-\frac{x}{v})$$$$=-Asin2\pi (\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})・・・答え$$
となります。
最後の式変形では、\(\omega=\frac{2\pi}{T}\)を代入しているよ!
【おまけ】波が負の方向に進行するy-xグラフ
最後に、上のy-xグラフから、波の式を立ててみよう!
波は、さっきの問題とは逆方向に、速さ\(v\)で進むよ!
※いつも通り、まずは自分で考えてみましょう!自分で解くことで、『解くうえで何が足りないのか』が明確になります!
まずは、(\(y-x\))グラフを(\(y-t\))グラフに書き換えていこう!
(\(y-x\))グラフを進行方向(今回は負の方向)にずらすと、\(x=0\)における波の動きは、上に昇ってくるので、\((y-t)\)グラフは、以下のように描けます!
今回の波の形は前回とは違い、振幅がAのcos関数なので、グラフから\(x=0\)における時刻\(t\)の波の変位は
$$y(0,t)=-Acos\omega t・・・➀$$
と書くことができます。
今回、波は左向きに移動しているので、\(x=0\)の場所から任意の位置\(x\)に到着するのに、
$$\frac{0-x}{v}$$$$=-\frac{x}{v}$$
かかります。
さて、位置\(x\)に届くには、t秒よりも\(t-\frac{0-x}{v}\)秒前に、出発しなくてはいけないから、この言葉を式にすると、
$$y(x,t)=y(0,t-\frac{0-x}{v})・・・➁$$
(位置\(x\)に、時刻\(t\)に届く波の高さ)
=(\(x=0\)において時刻\(t-\frac{0-x}{v}\)に発生した波と高さ)
➀の式と➁の式を見比べて、
$$y(0,t)=-Acos\omega t・・・➀$$$$y(0,t-\frac{0-x}{v})=-Acos\omega (t-\frac{0-x}{v})$$$$=-Acos\omega (t+\frac{x}{v})$$$$=-Acos2\pi (\frac{t}{T}+\frac{x}{\lambda})・・・答え$$
となります。
そろそろ慣れてきたかな??
まとめ:波の式を自由自在に書き換えられるようにしよう!
今回は、\(y-x\)グラフからの波の式の作り方について話してきました。
波の式は、以下の3ステップで作ることができましたね。
波の式の作り方!
➁ある1点の単振動を時間の関数で表す
➂➁が位置\(x\)に届くのにどれくらいかかるか考える
大切なのは、『どの波のグラフが与えられても、上の3ステップで完結する』ということです。
何度も読み込んで、自分で波の式を立てられるようにしておきましょう。